はじめに
昔は三脚のブランドと言えば、GITZO または QUICK-SET の二者択一と相場が決まっていました。GITZO は機関銃の銃座を作っているメーカでその三脚の堅牢(頑丈)さに定評があり、QUICK-SET は保守部品の入手の容易さから自分で修理して長く使える三脚として愛用されていました*1。
かくいう私もご多聞に漏れず、かつては GITZO の G312(雲台は G1371)と QUICK-SET のハスキー3段をメインに使用していました*2。 これらの三脚は今でも所有していますが、脚部だけで 3290g もの重量がある GITZO G312 は最近ではすっかり出番がなくなってしまいました*3。
そんなわけで、最近は K&F Concept のアルミ合金製軽量三脚を使用することが多いのですが、この三脚は収納時に縮長を稼ぐためにエレベータおよび脚部を反転させて折り畳む構造になっていて、展張するときに逆に手間がかかってしまうという短所があり、もっと簡単にセッティングできる三脚の購入をずっと考えていました。
Velbon ウルトラロック式三脚という選択
今回購入した Velbon のウルトラロック式三脚は、展張の容易さに重点を置いたユニークな三脚です。通常の三脚では、脚部の段数に応じて各段のロックと解除を行うリングが付いていますが、ウルトラロック式三脚は脚部が5段構成であるにもかかわらずロック解除リングが1つしかありません。しかも、そのリングは展張後の微調整を行うために2段目の伸縮を行うためのものです。
ウルトラロック式三脚では脚部の先端(一般に石突と呼ばれる部分)をひねることで、希望の段数分の展張を行うことができるようになっています。石突を手で握って捻るとカチッというクリック音が鳴り、クリック音の回数に応じて各段のロックが解除される仕組みになっています。すなわち、一気にクリック音4回分をひねれば全段のロックが解除されて一度に全高まで脚部を伸ばすことができるのです。また、石突を逆方向に一回ひねるだけで全段のロックがかかります。
Velbon ウルトラロック式三脚のラインナップ
Velbon のウルトラロック式三脚には脚径に応じて4種類のラインアップがあり、さらにそれぞれ雲台がセットされたものと脚部だけのものが販売されています。以下にそれぞれのスペックおよび価格をまとめておきます*4。
型番 | 全高 | 縮長 | 脚径 | 段数 | 本体重量 | 脚最大荷重 | 価格 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ULTRA 355 | 1445mm | 315mm | 21mm | 5段 | 827g | 6kg | ¥9,461 |
ULTRA 455 | 1526mm | 355mm | 24mm | 5段 | 1002g | 8kg | ¥8,800 |
ULTRA 555 | 1558mm | 370mm | 27mm | 5段 | 1307g | 10kg | ¥9,727 |
ULTRA 655 | 1536mm | 375mm | 30mm | 5段 | 1480g | 12kg | ¥10,109 |
型番 | 全高 | 縮長 | 脚径 | 段数 | 本体重量 | 推奨搭載質量 | 価格 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ULTRA 355 | 1520mm | 390mm | 21mm | 5段 | 1120g | 1.5kg | ¥9,455 |
ULTRA 455 | 1620mm | 425mm | 24mm | 5段 | 1440g | 2kg | ¥11,880 |
ULTRA 555 | 1670mm | 466mm | 27mm | 5段 | 1800g | 2.5kg | ¥14,518 |
ULTRA 655 | 1660mm | 483mm | 30mm | 5段 | 2060g | 3kg | ¥14,727 |
今回はこの中から ULTRA 655 の脚部のみを購入しました。EOS 1D X MarkII などの重量級の一眼レフでも使用できるように耐荷重の大きい脚径 30mm のものを選ぶ必要があったためです。
Velbon 中型アルミ製三脚 ULTRA 655
脚を伸ばしてみる
脚の微調整を行う
地面の凹凸などに応じてそれぞれの脚の長さを微調整したい場合は、微調整用のリングを回すことで2段目のロックだけを解除・固定できます。
開脚角度を変える
三脚の開脚角度を変えたい場合は脚部調整ノブを使用します。ノブをスライドさせることで開脚角度を三段階に変更することができます。
エレベータのロアーコラムを外す
開脚角度を最大まで広げるとエレベータのポールが地面に着いてしまうために低位置での撮影に支障が出ます。このような場合にはエレベータのロアーコラムを外すことで雲台の位置をを低くすることができます*5。
雲台を取り付ける際の注意
国産の三脚では雲台の取り付けネジに UNC 1/4" を採用しているものが多く、UNC 3/8" を採用している中国製の雲台はそのままでは装着できません。このような場合は UNC 3/8" ネジを UNC 1/4" ネジに変換するアダプターを使用することになりますが、アダプターの高さが微妙に高かったり、皿ネジ部分の加工が不足していたりしてフィットしないものが多いので注意が必要です。今回 ULTRA 655 に Benro のギア雲台 GD3WH を載せるに際してもこの問題があり、HAKUBA の H-SA8 という定番のアダプターを使用しました。
その他(サイズ感など)