pepe’s blog

雑多な趣味に関して深く浅く広く狭く語るブログです。

Velbon ウルトラロック式三脚(ULTRA 655)

はじめに

昔は三脚のブランドと言えば、GITZO または QUICK-SET の二者択一と相場が決まっていました。GITZO は機関銃の銃座を作っているメーカでその三脚の堅牢(頑丈)さに定評があり、QUICK-SET は保守部品の入手の容易さから自分で修理して長く使える三脚として愛用されていました*1

かくいう私もご多聞に漏れず、かつては GITZOG312(雲台は G1371)と QUICK-SETハスキー3段をメインに使用していました*2。 これらの三脚は今でも所有していますが、脚部だけで 3290g もの重量がある GITZO G312 は最近ではすっかり出番がなくなってしまいました*3

そんなわけで、最近は K&F Concept のアルミ合金製軽量三脚を使用することが多いのですが、この三脚は収納時に縮長を稼ぐためにエレベータおよび脚部を反転させて折り畳む構造になっていて、展張するときに逆に手間がかかってしまうという短所があり、もっと簡単にセッティングできる三脚の購入をずっと考えていました。

Velbon ウルトラロック式三脚という選択

今回購入した Velbonウルトラロック式三脚は、展張の容易さに重点を置いたユニークな三脚です。通常の三脚では、脚部の段数に応じて各段のロックと解除を行うリングが付いていますが、ウルトラロック式三脚は脚部が5段構成であるにもかかわらずロック解除リングが1つしかありません。しかも、そのリングは展張後の微調整を行うために2段目の伸縮を行うためのものです。

ウルトラロック式三脚では脚部の先端(一般に石突と呼ばれる部分)をひねることで、希望の段数分の展張を行うことができるようになっています。石突を手で握って捻るとカチッというクリック音が鳴り、クリック音の回数に応じて各段のロックが解除される仕組みになっています。すなわち、一気にクリック音4回分をひねれば全段のロックが解除されて一度に全高まで脚部を伸ばすことができるのです。また、石突を逆方向に一回ひねるだけで全段のロックがかかります。

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脚先端をひねるだけで希望の段数または全段を引き延ばすことができます。

Velbon ウルトラロック式三脚のラインナップ

Velbonウルトラロック式三脚には脚径に応じて4種類のラインアップがあり、さらにそれぞれ雲台がセットされたものと脚部だけのものが販売されています。以下にそれぞれのスペックおよび価格をまとめておきます*4

Velbon ウルトラロック式三脚(脚部のみ)
型番 全高 縮長 脚径 段数 本体重量 脚最大荷重 価格
ULTRA 355 1445mm 315mm 21mm 5段 827g 6kg ¥9,461
ULTRA 455 1526mm 355mm 24mm 5段 1002g 8kg ¥8,800
ULTRA 555 1558mm 370mm 27mm 5段 1307g 10kg ¥9,727
ULTRA 655 1536mm 375mm 30mm 5段 1480g 12kg ¥10,109
Velbon ウルトラロック式三脚(3Way雲台セット)
型番 全高 縮長 脚径 段数 本体重量 推奨搭載質量 価格
ULTRA 355 1520mm 390mm 21mm 5段 1120g 1.5kg ¥9,455
ULTRA 455 1620mm 425mm 24mm 5段 1440g 2kg ¥11,880
ULTRA 555 1670mm 466mm 27mm 5段 1800g 2.5kg ¥14,518
ULTRA 655 1660mm 483mm 30mm 5段 2060g 3kg ¥14,727
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ULTRA 655 / 555 /455 /355

今回はこの中から ULTRA 655 の脚部のみを購入しました。EOS 1D X MarkII などの重量級の一眼レフでも使用できるように耐荷重の大きい脚径 30mm のものを選ぶ必要があったためです。

Velbon 中型アルミ製三脚 ULTRA 655

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パッケージは他のシリーズと共用のようで中身に比べてやや大きめです。商品説明はシールで貼られています。
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開梱するとキャリングケースに入った三脚本体と説明書が入っています。キャリングケースは雲台付きで収納できるサイズなので脚部だけだとやや大きめです。
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商品輸送時にキャリングバックの中で遊んでしまうのを防ぐために、脚部が少し伸ばした状態で収納されていました。右の写真が脚部を縮めた状態です。

脚を伸ばしてみる

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脚部先端(石突)を左回転に捻ることで各段のロックが解除されます。石突を捻るとクリック感があります。
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クリック感の回数に応じて各段のロックが解除されます。一度に4クリック分捻ると全段のロックが解除されて一気に脚部を伸ばすことができます。

脚の微調整を行う

地面の凹凸などに応じてそれぞれの脚の長さを微調整したい場合は、微調整用のリングを回すことで2段目のロックだけを解除・固定できます。

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石突の上部にあるウレタン状のリングを左回転させると二段目だけがロック解除されます(右回転すると二段目だけがロックされます)。脚の長さを微調整したいときに使用します。

開脚角度を変える

三脚の開脚角度を変えたい場合は脚部調整ノブを使用します。ノブをスライドさせることで開脚角度を三段階に変更することができます。

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開脚角度の変更は脚部調整ノブで行います。脚部調整ノブをスライドさせるとロックがかかり、開脚角度が一番大きい状態になります。
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脚部を握って引き起こすと脚部調整ノブの位置に応じた開脚角度になります。脚部を伸ばすとロックが解除されて開脚角度が変わります(脚部調整ノブのロックを手動で解除することもできます)。

エレベータのロアーコラムを外す

開脚角度を最大まで広げるとエレベータのポールが地面に着いてしまうために低位置での撮影に支障が出ます。このような場合にはエレベータのロアーコラムを外すことで雲台の位置をを低くすることができます*5

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エレベータのポール部分を握って左回転させるとロアーコラムを取り外すことができます。
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取り外したロアーコラムの先端にあるキャップを外し、エレベータの底部に取り付けます。
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ロアーコラムを取り外す前と取り外した後。

雲台を取り付ける際の注意

国産の三脚では雲台の取り付けネジに UNC 1/4" を採用しているものが多く、UNC 3/8" を採用している中国製の雲台はそのままでは装着できません。このような場合は UNC 3/8" ネジを UNC 1/4" ネジに変換するアダプターを使用することになりますが、アダプターの高さが微妙に高かったり、皿ネジ部分の加工が不足していたりしてフィットしないものが多いので注意が必要です。今回 ULTRA 655Benro のギア雲台 GD3WH を載せるに際してもこの問題があり、HAKUBAH-SA8 という定番のアダプターを使用しました。

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HAKUBAH-SA8 を使用して雲台取り付けネジの変換を行いました。H-SA8 は安価でも評価の高いアダプターです。
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Benro のギア雲台 GD3WH を取り付けてみました。

その他(サイズ感など)

 

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全高と縮長

商品リンク

*1:QUICK-SETハスキー3段は写真学校推奨三脚ということもあり、写真学校出身のカメラマンに愛用者が多かったようです。

*2:用途に応じて Velbon 等の国産小型三脚も使用していました。

*3:Mamiya RZ67 等の重量級のカメラを使用する場合にたまに出番があるくらいです。

*4:価格は 2020 年 10 月 9 日現在の Amazon での販売価格です。

*5:エレベータが必要ない人はロアーコラムを外すことで 50g くらい重量が軽くなり携帯性が向上します。