SAMTIAN の超大型撮影ボックス 90x90x90cm を入手しましたので製品レビューを行います。
SAMTIAN 超大型撮影ボックス 90x90x90cm とは
SAMTIAN の撮影ボックスはいわゆる「物撮り」用の撮影ブースです。PVC 製の背景シート ( 4 色 ) と調光可能な LED ライト ( 2 灯 ) が付属しているので、本製品だけで完結した撮影環境を構築することができます。
なお、SAMTIAN の撮影ボックスは各種サイズのものが用意されていますが、今回レビューを行うのは 90cm 角の撮影ボックスです。 SAMTIAN の撮影ボックスのラインナップ *1 については巻末の商品リンクをご覧ください。
SAMTIAN 超大型撮影ボックスの特長
マルチアングル撮影
多角度から撮影可能の本格的な撮影ボックスです。正面や横からのアングルに加えて、天窓を取り外して真上からのアングルでも撮影することが可能です。
撮影ボックスの内側は高品質のアルミニウムフィルムの反射材で作られており、耐熱性が優れているほか、大きな光拡散性能を持っています。
LED ライトバー
2 灯の LED ライトバーにはそれぞれ 63 ビーズの SMD ( 表面実装 ) LED が使用されており、十分な照度 ( 15000 LM ) と高い演色性 ( CRI>95 ) を備えているほか、付属の調光器により光量を 0% から 100% まで無段階に調節できます。また、LED ライトは 360° 回転可能で自由な位置に配置できるので、撮影ニーズに応じた照明を施すことができます。
ディフューザ
光を柔らかくするためのディフューザが付属しています。ディフューザは四隅の取付金具をつかってパイプフレームに固定することができます。
4色背景シート
4 色の背景布シート ( 黒・白・青・黄色)が付属しています。背景シートは PVC 素材を採用しており、防水防塵性能をもっているほか清掃も簡単です。
製品仕様
製品レビュー
開梱
商品は大きな段ボールで届きます。
開梱するとビニール袋に包まれた専用バッグが1つ入っています。
SAMTIAN のロゴ入りの専用バッグの中に撮影ボックス一式が入っています。
専用バッグの中身は以下の通りです。
- 超大型撮影ボックスのファブリック ( 外装 )
- PVC 背景シート ( 黒・白・青・オレンジ色 *2 )
- LED ライトバー *3 ( 2 灯 )
- フレーム用のパイプ ( 12 本 )
- 説明書 ( 日本語対応 )
- ディフューザ
- フレーム接続コネクタ ( 10 個、※ 2 個は予備)
- LED ライトバー取り付け具の予備 ( 2 個 )
- LED ライトバーの調光器 ( 1 台で 2 個の LED ライトバーを調光可能 )
- 電源ケーブル
- 電源アダプタ
フレーム接続コネクタについて
筆者の元に届いた商品では、フレーム接続コネクタ1個の補強用リブが破損していました。スペアが2個付いているのでよしとしますが、付け外しを繰り返していると劣化する部品なので、メーカーさんにはスペアパーツの提供(別売)を検討していただきたいと思います。
LED ライトバーの電源コネクタの場所
初期状態では LED ライトバーの電源コネクタがフレーム取付部に隠れてしまっていて、どこに電源プラグを挿せばいいかわからない状態になっています。そのような場合はフレーム取付部を 180 度回転させると電源コネクタが現れます。
電気用品安全法への準拠
梱包の段ボールに貼り付けられていたシールに電気用品安全法で定められた PSE マーク ( 特定電気用品以外 ) の表示があり、法律面はクリアできています。
撮影ボックスの組み立て
- パイプ (12 本) を接続コネクタ ( 8 個 ) で接続して立方体のフレームを組み立てます。このとき、パイプは接続コネクタにしっかりと奥まで挿し込むようにします。
- ファブリック ( 撮影ボックスの外皮 ) を展開して、1. で組み立てたフレームをファブリック ( 底面にあたる部分 ) の上に載せます。
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ファスナーを締めてファブリックの背面をフレームに取り付けます。
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背景シートを取り付けます。ファブリック底面の手前側に背景シートの一端を挿しこみ、もう一端をマジックテープでファブリックの背面に固定します。
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フレームの任意の箇所に LED ライトバーおよびディフューザを取り付けます。LED ライトバーに調光器を接続します。
- ファブリックの上面と側面をファスナーを締めて接合します。
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LED ライトバーの調光器はファブリック上面の小窓から外に出しておきます。電源アダプターを LED ライトバーの調光器に接続して電源プラグをコンセントに挿します。
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ファブリックの前面をファスナーを締めればボックスは完成です。
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前面開口部の蓋はマジックテープで固定されているだけなので取り外しが可能です。開口部を開けて LED ライトを点灯すれば撮影の準備は完了です。開口部から中を覗いたところ。
【補足】背景シートの取り付けについて
上記の解説では撮影ボックスの組み立ての途中で背景シートを取り付けましたが、ボックスの完成後に前面のファスナーを開けて背景シートの取付・交換を行うことも可能です。
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ファブリックの前面のファスナーを開けて、前面下部に背景シートを挿し込みます。
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背景シート(マジックテープがある側)をファブリック背面内側にあるマジックテープに装着します。
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この状態で LED ライトバーやディフューザの場所を変更することも可能ですが、ファブリック上面を開けたほうが作業がしやすいと思います。
LED ライトバーの性能チェック
LED ライトバーの演色性、色温度、照度の測定を行ってみました。
- 撮影ボックスの天井面に LED ライトバー2灯を間隔を開けて設置し、床面の背景シート上に測定器を置いて計測しました。*4
- ディフューザを使用した場合と使用しない場合のそれぞれについて、最大光量と最小光量での光源の演色性、色温度、照度を測定しました。
- 測定にはセコニック スペクトロマスター C-800 を使用しました。なお、測定器の詳細については以下の過去記事をご覧ください。
ディフューザあり&最小光量の場合
ディフューザあり&最大光量の場合
ディフューザなし&最小光量の場合
ディフューザなし&最大光量の場合
まとめ ( 評価 )
演色性については、ディフューザの有無や光量に関係なく Ra 92.6 以上となっており、カタログスペックの CRI>95 には及ばないものの、十分演色性が高いと言えます。
照度も最大で3,000lx を超えており、通常の使用では問題ない光量が確保されています。
色温度は若干高めですが、ディフューザを使用することで 200K 程度色温度を低下させることができるので、通常の使用 ( 厳密な色温度管理を要求されるような用途でないかぎり ) では問題ないと言っていいでしょう。
【追記】参考露出値 ※2021-10-18 追加
読者の方からどのくらいの露出で撮影可能か知りたいというお尋ねがありましたので、実際に撮影を行った際の露出値がわかる写真を以下に追加します。
使用例
被写体として黒いスプレー缶を使用した撮影を行った結果を掲載します。
黒いスプレー缶の撮影 ( 青バック )
まず、青の背景シートを使ってプレーンライトで撮影を行ってみました。背景シートの青が全体に回ってしまってスプレー缶が青被りを起こしています。
そこで、スプレー缶の両側に黒レフを置いて黒締めを試みましたが、まだ青被りをしています。
黒レフをもっとスプレー缶に寄せてみました。黒レフが映り込むくらい缶スプレーに寄せてみましたが、黒レフ自体が青被りを起こしていることがわかります。
正面下方からも青い光が当たっているので、下に黒レフを敷いてみました。
少し改善が観られましたが、まだまだ青被りは完全に抑えられてはいません。
下方からの反射による光被りが観られるので台座に載せてみました。
かなり青被りが改善されました。
黒いスプレー缶の撮影 ( 黒バック )
背景シートによる色被りを防ぐために黒い背景シートを使ってスプレー缶の撮影を行ってみました。ここでは表面に光沢のあるスプレー缶を使用しました。
黒背景で黒い缶なのでさすがに色被りは観られませんが、光沢のある缶なので反射光が映り込んでいることがよくわかります。
缶の両サイドに黒レフを置いて黒締めをしてみましたが、黒レフの隙間 ( 正面 ) から反射光が入り込んでいることがわかります。
ファブリックの正面下側からの反射光が映り込んでいることがわかったので、撮影ボックスの開口部の蓋を使って反射を抑制してみました。
正面からの反射はかなり抑えられましたが、まだ缶の上のほうに映り込みが観られます。ライティングの見直しが必要そうですが、今回はここまでとします。
同じセッティングで他のスプレー缶を撮影してみました。
まとめ
この撮影ボックスは内側が高反射の銀面になっているため、色付きの背景シートを使う場合には光の反射や回り込みによる色被りに注意する必要があります。また、黒や白の無彩色の背景シートを使う場合でも光の反射による被写体への映り込みに対する配慮が必要です。
ディフューザと同じようにフレームパイプに固定できる黒レフがあると便利だな、と感じました。メーカーさんにはご検討をお願いしたいところです。
【補足】PVC 背景シートの保管および運搬について
付属の背景シートは PVC 製のため汚れても拭き取れば落ちるなど利便性が高いのですが、材質が柔らかいために表面に細かな傷が付きやすい、辺が変形しやすいなどの短所があります。SAMTIAN の撮影ボックスでは専用キャリングバッグに PVC 背景シートが裸の状態で入っているため、傷や変形の心配があります。せめて紙筒のようなものに入れておいてくれればよかったのに・・・と思います。
そんなわけで、ダイソーで販売している「伸びーる!書類ケース」に PVC 背景シートを収納することをおススメします。この書類ケースは 10 段階に伸縮可能になっていて、最長1メートル幅のものを収納することができます。
SAMTIAN の PVC 背景シートは 95cm 幅なのでこの書類ケースにきれいに収まります。下の写真では取り出しやすいようにシートが少し見える位置で固定してあります。
下の写真ではケースに3本の PVC 背景シートを半ば無理矢理に収納していますが、取り出しや収納の手間を考えると2本で抑えておいたほうがいいと思います。