pepe’s blog

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【よもやま話】放射線ホルミシスと汚染水の海洋投棄について

高線量では有害な電離放射線が、低線量では生物活性を刺激したり、以後の高線量照射に対しての抵抗性をもたらすとする「放射線ホルミシス」という仮説があります。この仮説を元に放射線は有害ではなく、むしろ健康にいいと言い出す「自称科学者」がいます。

ホルミシス」というのは「菌類の成長を抑制する物質が低濃度では菌類の成長を刺激する」ことに由来する説であって「少量の毒は刺激作用がある(アルント・シュルツの法則)」と同じ内容のものです。この説をそのまま放射線に当てはめて放射線が無害であるとしたのが「放射線ホルミシス」です。

人類は菌類や毒を無毒化する技術は持っていますが、放射線を無毒化する技術をまだ持ち合わせていません。どの程度の放射線量なら安全でどこからが危険かという定量的なしきい値も確立できているとは言いがたい状況です。「放射線ホルミシス」は単なる仮説にすぎず、この仮説をもって安全性を語るのは詭弁だと私は考えます。

追記。

微量のラジウムラドンから発生する放射性同位体を含む温泉(放射能泉)があります。ラジウム温泉ラドン温泉、トロン温泉などがそれです。「健康への悪影響は一切なく、ホルミシス効果による免疫細胞の活性化により健康になる」という人もいます(放射線は無害だと主張する人の大半がこれを根拠にしていると思われます)が、被ばくによる健康被害を指摘する人もいます。

まぁ、温泉程度でしたら、最終的には利用者本人の判断に委ねればいいのでしょうが、汚染水 *1 の海洋投棄となるとそうはいきません。

*1:「処理水」と呼称を変えたところで放射能で汚染された水であることに違いはないので、ここではあえて「汚染水」と記載しています。