pepe’s blog

雑多な趣味に関して深く浅く広く狭く語るブログです。

旧型ノート PC の高速化(DELL Vostro 2520 編)

いまはもう使わなく(使えなく?)なった古いノート PC を安価に高速化して現場復帰させてあげようというプロジェクト。第二回は DELL Vostro 2520 を取り上げます。

DELL Vostro 2520

DELL Vostro 2520DELL のビジネスノートPCで、企業向け製品としてラインナップされているモデルです。DELL は小規模事業者向けにビジネスPC(デスクトップPC、ノートPC)を格安で販売していますが、個人事業者でもエントリーすれば購入が可能です。今回改造を行うのは下記のモデルです。

モデル名 DELL Vostro 2520
プレインストールOS Windows® 7 Home Premium 64ビット正規版SP1
CPU Intel Core i3-3120M プロセッサー
メモリ PC3-12800(DDR3-1600)デュアルチャネル対応、DIMMスロット×2
標準4GB / 最大8GB
HDD 500GB HDD(5,400rpm、Serial ATA
LAN 有線LAN(内蔵): ギガビットEthernetネットワーク
無線LAN: 802.11 b/g/nおよびBluetooth Combo(BT V4.0+HS)

高速化の概要

SSD への換装

DELL Vostro 2520 の HDD は一般的な 2.5inch SATA ドライブなので SATA 対応の SSD であれば問題なく換装できます。今回は WD3D NAND SATA SSD 500GB(WD BLUE)を使用しました。

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換装に使用する SSDWD BLUE 500GB

DELL の ノートPC は底面(裏面)に HDD 交換用の蓋がないので、SSD に換装するためにはノートPC を分解する必要があります。

メモリの増設

DELL Vostro 2520 のメモリの仕様は PC3-12800(DDR3-1600)SDRAM です。標準では 4GB 搭載されているので、空きスロットに 4GB を1枚追加して計 8GB とするべきなのですが、CFD の 8GB SO-DIMM を1枚増設して計 12GB にしてみました。仕様では最大 8GB となっていますが 12GB で正常に動作しています。

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増設に使用した CFD(panram)製 8GB SO-DIMM。1.35V 低電圧タイプのもの。
(※1.35V 低電圧タイプに対応したマザーボードでのみ使用できます。)

DELL の ノートPC は底面(裏面)にメモリ交換用の蓋がないので、メモリを増設するためにはノートPC を分解する必要があります。

CPUの換装

DELL Vostro 2520 に搭載されているインテル® Core™ i3-3120M プロセッサー開発コード名 Ivy Bridge シリーズの CPU で、チップ表面に SR0TX という記号がプリントされています。詳細な仕様は以下のページを参照してください。

上記ページに記載されている内容で重要なのは、CPU ソケットFCPGA988TDP(熱設計電力)が 35W という点です。換装する CPUIvy Bridge シリーズを使用する必要がありますが、CPU ソケットの形状や TDP にも注意する必要があります。

実際にどの CPU に換装可能であるかは以下のページで調べることができます。

例えば、高速性を追求するためにコアの数が4個のものにしたいと考えて Core™ i7-3940XM を調べてみると、TDP が 55W となっており、35W を超えてしまっているので電力不足で正常に動作しません。今回、私はコア数2の Core™ i5-3340M と Core™ i7-3520M の2種類のプロセッサーを購入して換装を行ってみました。結果としてどちらも正常に動作しました。

SSD、メモリ、CPU 換装の手順

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換装用に購入した Core™ i5-3340M(左)と Core™ i7-3520M(右)。
チップ表面にそれぞれ SR0XASR0MT の記号がプリントされています。

 

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換装を行う DELL Vostro 2520

 

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DELL Vostro 2520 の底面。メモリ交換や HDD 交換のための蓋などは一切ありません。
画面左下に HDD 固定用のビスがあるので、これも含めてビスをすべて外します。

 

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DELL Vostro 2520 を表に返してキーボードを外します。
プッシュ式のツメで固定されているだけなので分解用の治具を使うと簡単に外せます。

 

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外装(上面パネル)を外すとマザーボードが現れます。
SSD への換装やメモリの増設はこの状態で行います。

 

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CPU ファン&ヒートシンクの固定ビスを緩めると CPU が現れます。

 

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CPU ソケット右側のマイナスネジを緩めるとロックが外れて CPU を外すことができます。CPU を換装したらマイナスネジを締めてロックします。

 

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換装した CPU に CPU グリスを塗布します。
右の写真が今回使用した CPU グリスとグリス塗布用のヘラです。
熱伝導率にすぐれ冷却効果が高いシルバーグリスの使用をお勧めします。

 

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RTC 用のボタン電池もついでに交換しておきます。
CR 2032 は比較的良く使う電池なので Amazonバルク品を買うとお得です。

換装が終わったら分解の手順と逆手順で元通りに組みなおします。

性能評価

Windows エクスペリエンス インデックス

Windows エクスペリエンス インデックス を使って性能評価を行います。

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左がオリジナル(i3-3120M)。中央が i5-3340M、右が i7-3520M に換装したもの。

 

なお、Windows 10Windows エクスペリエンス インデックスを計測する手順については下記の記事を参照してください。

CPU-Z

最後に CPU-Z を使った性能評価の比較結果を例示します。

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オリジナル(i3-3120M)

 

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i5-3340M に換装後

 

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i7-3520M に換装後

商品リンク

旧型ノート PC の高速化(dynabook Satellite B451/D 編)

いまはもう使わなく(使えなく?)なった古いノート PC を安価に高速化して現場復帰させてあげようというプロジェクト。第一回は dynabook Satellite B451/D を取り上げます。

dynabook Satellite B451/D

dynabook Satellite B451/Ddynabook がまだ東芝のものであった時代に販売されていたビジネスノートPCで、企業向け製品としてラインナップされていたモデルです。何故か(どこからか)大量に市場に流出して(通販等で)格安で売りに出されていました。今回改造を行うのは下記のモデルで当時 29,800円で購入したものです。

モデル名 dynabook Satellite B451/D プレインストールOS Windows® 7 Professional 32ビット版
Service Pack 1 適用済み)
Windows® 7 Professional 64ビット版
Service Pack 1 適用済み)
型番 PB451DNBNR5A51 CPU インテル® Celeron® プロセッサー B800
1.50GHz
Model Name. Satellite Pro S750 Series メモリ PC3-10600(DDR3-1333)SDRAM
デュアルチャネル対応
標準2GB / 最大8GB
Model No. PSSERN-05MOOM HDD 250GB HDD(5,400rpm、Serial ATA
製造番号 9B179393H LAN 1000Base-T/100Base-TX/10Base-T
(自動認識、Wake On LAN対応)
無線LANはオプション

高速化の概要

SSD への換装

dynabook Satellite B451/DHDD はごく一般的な 2.5inch SATA ドライブなので SATA 対応の SSD であれば問題なく換装できます。私は手持ちの 250GB SSD(旧デスクトップで使っていたものを外して保管しておいたもの)を使用しました。

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左が元々入っていた HDD、右が換装に使用する SSD。固定金具を外して付け替えます。

dynabook シリーズは本体を裏返すと HDD を交換するための蓋があるので、プラスドライバー1本あれば誰にでも簡単に SSD への換装ができます。ここでは詳しい説明は省きます。

メモリの換装

dynabook Satellite B451/D のメモリの仕様は PC3-10600(DDR3-1333)SDRAM です。標準では 2GB しか搭載されていないので、ここでは 4GB ×2枚に置き換えます。デュアルチャンネル対応なので同じ容量のメモリを2枚使用することが重要です。合計 8GB あれば何とか通常の使用には耐えると思います。私は手持ちのメモリ(他のノート PC のメモリ換装で外したもの)を使用しました。

dynabook シリーズは本体を裏返すと メモリを交換増設するための蓋があるので、プラスドライバー1本あれば誰にでも簡単にメモリの換装ができます。ここでは詳しい説明は省きます。

CPUの換装

この記事の山場です。ここからは少し詳しく説明します。

dynabook Satellite B451/D に搭載されているインテル® Celeron® プロセッサー B800開発コード名 Sandy Bridge シリーズの CPU で、チップ表面に SR0EW という記号がプリントされています。詳細な仕様は以下のページを参照してください。

上記ページに記載されている内容で重要なのは、CPU ソケットFCPGA988TDP(熱設計電力)が 35W という点です。換装する CPUSandy Bridge シリーズを使用する必要がありますが、CPU ソケットの形状や TDP にも注意する必要があります。

実際にどの CPU に換装可能であるかは以下のページで調べることができます。

例えば、高速性を追求するためにコアの数が4個のものにしたいと考えて Core™ i7-2720QM を調べてみると、TDP 45W となっており、35W を超えてしまっているので電力不足で正常に動作しません。今回、私はコア数2の Core™ i7-2620M プロセッサーを選択しました*1

CPU 換装の手順

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換装に使用する Core™ i7-2620M プロセッサー。チップ表面に SR03F の記号がプリントされています。Yahoo オークションや Amazon で中古品を購入できます。

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高速化を行う dynabook Satellite B451/D

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dynabook Satellite B451/D を裏返して F8 のマークが付いているビスをすべて外します。この段階ではビスを外すだけです。分解はまだできません。
バッテリーや HDD も外しておきます。
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dynabook Satellite B451/D を表に返してキーボードの上にあるカバーを外します。Amazon 等で販売している分解用の治具を使うと作業が楽になります。

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液晶パネルの右側のヒンジ(蝶番)の F12 ビスを外します。
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キーボードのケーブル(フレキシブル基板)を外します。

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液晶パネルのヒンジの左側にある F12 ビスを外します。

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写真の2つのケーブルをコネクタから外します。

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dynabook Satellite B451/Dマザーボードの裏面に CPU が実装されているため、マザーボードを取り出す必要があります。外装を上下に分離させ固定ビスを外してマザーボードを取り出します。外装を外すには先に使用したような専用の治具を使うと便利です。
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CPU 冷却ファンを外します。モデルによってヒートシンクの形状が異なるものがあり、ビス止めの箇所や数が写真とは異なる場合があります。ヒートシンクにこびりついた CPU グリスは奇麗に拭き取っておきます。無水アルコールを使うと奇麗に拭き取ることができます。
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CPU ソケットの下部にあるマイナスネジをドライバーで回転させるとロックが外れて CPU を外すことができます。CPU を差し替えたら CPU グリスを塗ります。

以後、分解の際とは逆の手順で元通りに組んでいきます。

性能評価

Windows エクスペリエンス インデックス

Windows エクスペリエンス インデックス を使って性能評価を行います。

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CPU 換装の前後での Windows エクスペリエンス インデックスの比較。

なお、Windows 10 Windows エクスペリエンス インデックスを計測する手順については下記の記事を参照してください。

CPU-Z

最後に CPU-Z を使った性能評価の比較結果を例示します。

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CPU 換装前の CPU-Z による性能評価
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CPU 換装後の CPU-Z による性能評価

商品リンク

*1:私がヤフオクで落札した時の落札額は 3,800 円でした。Amazon での販売額はその2倍程度でした。どちらも最近は価格が高騰しているようです。

Windows 10 で Windows エクスペリエンス インデックスを表示(WEI Viewer)

Windows 7 には PC の性能評価を行う Windows エクスペリエンス インデックスという仕組みがありましたが、Windows 10 になってこの機能はオミットされてしまいました。
Windows エクスペリエンス インデックスは、PC をアップグレードした場合などの性能改善を測る簡単なツールとして便利なものなので、これを Windows 10 でも使えるようにしようというのが本稿の趣旨です。 

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Windows 7 にあった Windows エクスペリエンス インデックスの表示

Windows 10 で Windows エクスペリエンス インデックスを表示する方法

  1. コマンドプロンプトを管理者権限で開きます。具体的には、Windows メニューの右横にある検索欄に cmd と入力して「管理者として実行」を選びます。

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    コマンドプロンプトを管理者として実行します。
  2. コマンドプロンプトwinsat formal [Enter] を入力して PC の性能測定を行います。性能評価には若干時間がかかります。最後に「合計実行時間」が表示されたら性能評価は終了です。

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    winsat formal コマンドを実行して PC の性能評価が終わるのを待ちます。
  3. C:\Windows\Performance\WinSAT\DataStore フォルダを開いて *.Formal.Assessment (Recent).WinSAT.xml というファイル(* 部分にはファイルを作成した日付等が付きます)が生成されていることを確認します。

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    *.Formal.Assessment (Recent).WinSAT.xml(* 部分はファイルを作成した日付等)が生成されます。
  4. Web ブラウザで WEI Viewer のサイト を開きます。

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    WI Viewer のサイトを開きます。
  5. WEI Viewer の枠に前述の *.Formal.Assessment (Recent).WinSAT.xml ファイルをマウスでドラッグ&ドロップすると Windows エクスペリエンス インデックス が表示されます。

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    Windows エクスペリエンス インデックスが表示されます。
  6. 表示された Windows エクスペリエンス インデックス は画像データとしてダウンロードすることができます。

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    画像データとしてダウンロードできます。

商品リンク

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