「Theirs Is the Glory(邦題:第一空挺兵団)」とは
「Theirs Is the Glory(邦題:第一空挺兵団)」は第二次大戦末期に西欧戦域で実施されたマーケット・ガーデン作戦をテーマに扱ったイギリス製作の映画で、第二次世界大戦終結の翌年(1946 年 8 月 15 日)に公開されました。
同じ題材を映画化したものとしては、1977 年公開の映画「A Bridge Too Far(邦題:遠すぎた橋、原作:コーネリアス・ライアン)」がありますが、「第一空挺兵団」が「遠すぎた橋」と違うのは、アルンヘム攻防にポイントを絞ることで惨敗に終わったこの無謀な作戦を美化することなくありのままにドキュメンタリーとして製作している点です。
また、「第一空挺兵団」には当時この作戦に参加していた兵士やオランダ市民の協力者たちが出演しています。「遠すぎた橋」がロバート・レッドフォード、ジーン・ハックマン、ローレンス・オリヴィエ、エリオット・グールド、マイケル・ケイン、ダーク・ボガード、ショーン・コネリー、アンソニー・ホプキンス、マクシミリアン・シェルといった名優をこれでもか・・・とばかりに使っているのとは対照的です。*1
マニアの見所
「第一空挺兵団」に登場する兵器はすべて第二次世界大戦で使われていた本物です。イギリス軍の車両や火砲だけでなく、キングタイガーやパンサーなどのドイツ車両も実物が使われています。劇中でキングタイガーが炎上しているシーンには思わず「うわっ、もったいない・・・」と叫んでしまいました(苦笑)。
関連リンク
「第一空挺兵団(原題:Theirs Is the Glory)」
Youtube で HD 版(字幕なし)を鑑賞することができます。
メイキング的な動画も観られます。
関連記事を下記の各サイトで読むことができます。
「遠すぎた橋(原題:A Bridge Too Far」)
Youtube で HD 版(字幕なし)を鑑賞することができます。
予告編です。
Wikipedia で関連記事を読むことができます。
マーケット・ガーデン作戦について
「マーケット・ガーデン作戦」とは、当時ドイツ占領下にあったオランダを奪還するために、ルート上の河川にかかる橋梁の確保を空挺部隊(第一空挺軍、3個空挺師団基幹)で行う「マーケット作戦」と、その橋を通って機甲部隊(英第30軍団、3個師団基幹)が侵攻する「ガーデン作戦」の2つの作戦から構成されていました。
主要な降下地点は、アイントホーフェン、ナイメーヘン、アルンヘム(アーネム)の3か所で、アイントホーフェンには米第101空挺師団、ナイメーヘンには米第82空挺師団、アルンヘム(アーネム)には英第1空挺師団とポーランド第一空挺旅団がそれぞれ降下しました。
降下兵力が3万人におよぶ史上最大の空挺降下作戦であり、「圧倒的な兵力を投入して勝てる戦しかしない」バーナード・モントゴメリー元帥のお得意の作戦でしたが、最後の要衝であるアルンヘム(アーネム)には再編成中のドイツ装甲師団(第2SS装甲軍団)が駐留しており、英第1空挺師団とポーランド第一空挺旅団は 9 日間の激闘の末大損害 *2 を被って機甲部隊の到着を待たずして作戦は惨敗に終わりました。*3
なお、マーケット・ガーデン作戦の詳細については WIkipedia の記事が比較的コンパクトにまとまっていて参考になると思います。
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脚注・コメント
*1:惜しむらくは、これだけのオールスターキャストを使いこなすだけの能力がリチャード・アッテンボロー監督になかったことです。そのため作品としての評価も芳しくありません。
*2:英第1空挺師団 10,000 名のうち脱出できたのはわずか 2,000名、作戦全体で 12,873 名の戦傷・戦死者を出しています。
*3:モントゴメリー元帥はマーケット・ガーデン作戦を「90%成功した」と宣っております。これだけの大兵力を投入して壊滅的な大損害を出しておきながら「十分な航空機、地上兵力、そして遂行するのに十分な資材が与えられていたなら成功していたであろう。」とまで言い切っています。名将ロンメルや猛将パットンへの対抗上「国策」として祀り上げられた迷将モントゴメリーの無能さを物語るエピソードではあります。