今回は レンズの焦点距離 に関する蘊蓄を・・・。
レンズの焦点距離とは
「レンズの焦点距離とは、レンズから撮像素子までの距離である」という解説をよく見かけますが、これは単レンズの場合の話です。通常、カメラに使用されるレンズは複数枚のレンズを使うのでこの解説は正確なものとは言えません。
もし「レンズから撮像素子までの距離」だと仮定すると、焦点距離が長いレンズほど鏡筒が長くなるはずですが、実際にはそうでないものも多く存在します(ミラーレンズなどはその最たる例です)。
正しくは「カメラのレンズの焦点距離とは、レンズの主点から撮像素子までの距離である」となります。レンズの構成によって主点の位置がレンズ群の前にあったり後ろにあったりするため、レンズ設計によっては焦点距離が長くても鏡筒を短くすることができます。
標準レンズと人間の視野
一般に、標準レンズと呼ばれるレンズの焦点距離は結像部(撮像素子またはフィルム)の対角線長を基準としています。
たとえば、フルサイズカメラの撮像部(36mm×24mm)の対角線長は 43mm なので標準レンズの焦点距離は 43mm になります。ただし、これが人間が肉眼で見たときの視野に近いかというと定かではありません。視覚とは脳の働きを含んでいるためです。
ちなみに、ボンヤリ眺めているときの視野(視野角)は 35mmの画角、肉眼でプリントを見たときに等倍で見えるのが 135mm~200mmの画角、目を凝らして凝視しているときの範囲が 500mm~1,000mm の画角に相当すると言われています。