Andoer LM135Bi に関する記事を前編・後編の二回に分けて投稿しましたが、電源編と称して記事を追加することにしました。また、製品に添付されている米国仕様の電源プラグに絡めて AC 電源の極性についても簡単に補足します。
Andoer LM135Bi の電源電圧について
LM135Bi の電源電圧は、添付の取扱説明書によれば 110 - 230V となっています。 *1 今回購入したものには米国仕様の電源プラグ(ケーブル)が添付されていますが、アメリカ国内の単相の商用電源電圧は 115V または 230V なので、日本の商用電源電圧 100V では1~2割程度電圧が不足している計算になります。
そこで、LM135Bi の電源として電圧 120V を供給して発光量や色温度、演色性に変化があるかを調べてみました。
昇圧トランスの利用
商用電源の電圧 100V を 120V に昇圧するために昇圧トランスを使用しました。今回使用した昇圧トランスは今から30年以上前に自作 PC の電源昇圧用に購入したものです。当時は自作 PC 用の電源ユニットは輸入品しかなく、米国仕様のものを使わざるを得なかったため、安定動作のために昇圧トランスは必須アイテムでした。
電源電圧の測定
まず、我が家の商用電源コンセントの電圧と昇圧トランスを通したあとの電圧を、それぞれマルチメータ―で測定してみました。
コンセントの電圧は 105.3V、昇圧後の電圧は 121.8V でした。
光源の測定
つぎに、セコニック スペクトロマスター C-800 を使って、それぞれの電源電圧ごとに発光量 5% と 100% の2パターンの測定を行いました。なお、色温度は 5600K 固定としました。
左から順に、
- 電源電圧 100V / 発光量 5%
- 電源電圧 100V / 発光量 100%
- 電源電圧 120V / 発光量 5%
- 電源電圧 120V / 発光量 100%
における測定結果です。
以上の測定結果をまとめると次のようになります。
LM135Bi の設定 | 色温度実測値 | 色補正フィルター | 照度 (lux/m) | 演色評価 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
電源電圧 | 光量設定 | Ra | Rg | |||
100V | 5% | 5983K | 3.5G | 187 | 92.6 | 99 |
100V | 100% | 5989K | 4.2G | 2240 | 92.8 | 103 |
120V | 5% | 6021K | 3.5G | 207 | 92.5 | 99 |
120V | 100% | 6009K | 4.2G | 2200 | 92.9 | 103 |
- 色温度の実測値は 100V よりも 120V のほうが若干高めに出ていますが、誤差の範囲と考えられます。
- 色補正フィルター番号については電源電圧による変化は見られません。
- 照度については多少の変動は見られますが、誤差の範囲と考えられます。
- 演色性については電源電圧による変化は見られません。
以上の結果から、電源電圧による光量および光質の違いはほとんどないと思われます。
電源プラグの形状と電源の極性について
Amazon の Andoer LM100W のレビューを見ると「電源プラグの形状がコンセントに合わないので削って使っている」というような投稿がありました。おそらく Amazon で販売されているものには標準で米国仕様の電源ケーブルがバンドルされているのでしょう。*2
下の写真が米国仕様の電源ケーブルのプラグ部分です。電極の一方の先端が大きく膨らんでいることがわかります。Amazon にあった投稿はこの膨らんだ部分を削ったものと思われます。
ご存知ない方も多いかもしれませんが、AC 電源にも極性があって、米国仕様では極性に合わせてコンセントに挿入できるようにプラグの形状およびコンセントの孔の大きさが異なっているのです。
実は、日本の商用電源にも極性があります。*3 ご家庭のコンセントをよくご覧になっていただくと、穴の大きさが異なることに気付くと思います。
この形状のコンセントであれば、削ったり加工したりしなくても米国仕様のプラグを挿入することができます。
なお、テーブルタップや延長ケーブルの類には、極性を意識せずに同じ大きさの孔で作られている製品もあります。
電源周りの製品を購入する場合には電源コンセントの極性にも少しだけ配慮なさることをおススメします。電源コンセントの向きと極性についての詳しいことは下記の記事が参考になると思います。
関連リンク
商品リンク
日本国内では Amazon の Eighton ストアで 6,999 円(無料配送)で Andoer LM135Bi が販売されています。*4。
Andoer LM135Bi 以外のモデルについても Amazon の Eighton ストアで販売されています。*5
脚注・コメント
*1:本体にはなぜか 220 V と表記されています(謎)。
*2: 私の場合は AliExpress で購入する際に電源プラグのタイプを選択できたのですが、Amazon では日本国内で使用できるものを標準添付しているものと考えられます。
*3:屋内電気工事に携わる技術者なら知っていて当然のはずですが、現実には極性が正しく結線されないケースが見受けられます。オーディオ関係の機材は電源の極性に大きく影響を受けるため、オーディオマニアの方は電源の極性を調べて工事のやり直しを依頼したりするそうです。
*4:なぜか Amazon の Andoer 公式ストア Andoer-JP では取り扱われていません。
*5:購入者のブログや製品レビューをみると、デイライトタイプのものは色温度が仕様よりも 1,000K 以上高いなど、あまり芳しい評価が得られていないようです。返品する人も多いようです。購入をお考えの方はそういった意見も参考にしてご自身で判断してください。